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ポンクワウンナイ川(2020.8 in 北海道)


2020.8.19-23
メンバー N島、Yつた、S賀、Nし

8/19 9:00神戸発-11:00新千歳ー16:00富良野(泊)
8/20 5:00天人峡発ー7:30Co798m二股ー11:00Co1020m大滝下ー17:00Co1300mナメー18:00Co1400m(泊)
8/21 7:30発ー7:50Co1450m門の滝ー9:30稜線ー ヒサゴ沼(泊)
8/22 5:00ヒサゴ沼発ー化雲岳ー12:00天人峡
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ここ数年、夏には北アルプスの沢に行ってきた。上ノ廊下、北鎌尾根(湯又から)、小倉谷、双六谷、だいたい行きたかったところへは行ったので今年は思いつきで北海道の沢へ行ってみようということになった。そもそも北海道には行ったことすらない、全く未知の世界。どんな沢があるのかも知らない。少し調べてみると、あのトムラウシにクワンナイ川という有名な沢があることが分かった。しかし、沢登りの対象としては神戸から飛行機に乗って遠征するには単調すぎるように感じた。そこで、さらに調べると、情報量は圧倒的に少ないがクワンナイ川の隣にポンクワウンナイ川という歯ごたえのありそうな沢があることが分かった。ルート選びに大いに悩んだが、せっかく行くのだからクワンナイ川もポンクワウンナイ川も両方行ってしまおうという計画を立てた。ポンクワウンナイ川を登り、間のカウン沢を下降し、クワンナイ川を登る計画を立てた。本当はもう少し日程を確保したいところだったが、メンバー間での調整が難航し、結局、2泊3日(+予備日1)が精一杯だった。

コロナ禍の影響で予定していた8/18日の最終便が飛ばなくなった。この時点で神戸を朝出発にするより仕方がなくなった。元々、ギリギリの行程だったので、この時点で当初の計画は微妙になった。日が近づいて来ると、さらに天気予報も微妙になった。飛行機で遠征なので、天気が微妙でも、とりあえず北海道には行くしかない。


8/19 12時過ぎに千歳でレンタカーを借りたが、とりあえず美味しいものが食べたいということになった。キリンビールの工場内のレストランでサーロインステーキ丼を食べた。キリンビールの工場ということで、さっそくYさんが一杯。この辺りから初日の入渓の方針は薄れて行った感がある。
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高速代を節約ということで下道でいくことになった。たしかに雄大な北海道の地は下道もまっすぐだ。とはいえ、さすがにそれなりに時間がかかり富良野に来たぐらいで、入渓は17時を過ぎる感じになった。そこで今日は宿に泊まろうということで僕以外の3人の意見がまとまった。入渓を強行して今夜雨が降れば、僕が吊し上げられるのは目に見えている。ラベンダー園に行き、晩御飯は寿司を食べ、大いに富良野を満喫。もはや何をしに北海道まで来たのか分からない。ちなみに寿司は衝撃的に美味しかったが、物置のような宿(一人2000円)は微妙。テントの方が快適だろう。

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8/20 気を取り直して3時半に宿を出る。入渓地点近くの待避所に停め、5時にスタート。雨が心配されたが、とりあえず駐車場では曇だった。
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8:20最初の難関、残置あぶみの滝。たしかに残置がなかったら、ハーケンを打ち直すのも結構しんどいかもしれない。四人のザックを荷揚げするのに手間取り時間がかかる。この頃から雨が降り始めて止まっていると寒い。
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11:00 Co1020m、最大の難関、大滝が現れる。突然、目の前に大滝が出てきて中々の迫力。予定通り少し戻って右岸から巻く。しかし、巻き道も思ったほど明瞭でもない。この沢の全体を通して言えることだが、関西の有名ルートに比べると圧倒的に踏み跡が薄い。たぶん遡行者が少なく、人が入るよりも草木の成長が早いのだろう。それゆえ、ひとつひとつ自分たちで考える必要がありパーティーの力量が問われるだろう。1時間半ほどかけて、藪をかき分け落ち口を探り当てることに成功。
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15:30 依然として雨は降り続け消耗する。(たぶんCo1200mぐらい)ナメが始まる直前の滝。右岸から巻く。ルートを探っていると、5mほどの壁の上に、残置スリングが木にぶら下がっている。しかし、間に手がかり、足がかりがなく、どう突破できるのか分からない。とりあえずN島が行ってみるが、少し登ったところで滑り撤退。

次はYがさらに左から巻くルートを探る。下からは様子が見えないが、岩の上で何かを叫んでいる。気軽に偵察に行ったのだが、こちらも結構悪いようだ。なんとか突破したが、セカンドが全て回収しろと言っている。では、あとの二人(S賀、Nし)はどうなるのか。とりあえず、セカンドで登ってみて理由が分かった。左から巻くとスラブの斜面をトラバースすることになる。ランナーは取っているが、回収すれば残るのは終了点のみ。濡れたスラブで滑ったら思いっ切り落ちるだろう。中間支点のハーケンもどれ程のものか・・・。だから、あとの二人は無理。僕がセカンドで回収しろということらしい。大役を仰せつかり身に余る光栄・・・。

そして残った二人は手がかりのない壁をロープで引っ張り上げる作戦にした。上げられる方も大変だろうが、上で引っ張る方も大変だ。この引き上げでYが体力を消耗したらしく、めずらしくやる気を失った。また、引き上げの最中に落石があって、Nの足をかすめたらしい。力任せの引っ張り上げは、めったにやらない作戦だけに今後の反省材料となった。
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17:00 Co1250m辺り、本来は癒しのナメが続くのだが、この時間・・・、この天気・・・。やはり、晴れの日が良いなと思う。
予定外の高巻きに苦戦して、時間も体力も精神力も消耗した。Yはどこでも良いから泊まろうと言っている。しかし結果的には、この辺で張った方が良かったのだ。
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18:00 時間的にも限界で、ほとんどビバークみたいな場所に泊まることになった。薪を集める元気もなく焚き火のない夜は寒い。寒波の影響もあり気温は1桁だった。さすがは北海道だ。ダウンを着てシュラフに入っても寒くて寝られなかった。
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8/21 寒い夜をなんとか乗り切ったが、昨日の消耗もあり、もはやカウン沢を下降する気力は皆になかった。そうなると急いでも仕方ないので、日が昇るのを待ち7時半に出発。少し進んだら源頭の雰囲気になってきた。
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10:00 Co1800mコル、Yはすっかり魂が抜けている
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8/22
ヒサゴ沼避難小屋から天人峡まで、長い道を下る。ただの一般道と思っていけど、稜線から見る山並みは雄大で素晴らしい。その間を流れる沢を遡下降するというのは、かなり大きなスケールの計画だったことを実感。ぜひ天気の良いときにリベンジを果たしたいと感じた。結局、ポンクワウンナイ川だけで終わってしまったが、今回の天候であれば、これで十分とも言える。むしろ、これを乗り切って少し経験値が上がった感すらある。あまり情報もなく、それだけに自身の判断力を問われる楽しく難しい沢であった。3名の仲間とともに、沢の前後も含めて大いに北海道の夏を満喫することが出来た。

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by koberozan | 2020-09-04 16:35 | 沢のぼり

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