神戸労山 山旅ブログ

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黒部 上ノ廊下~赤木沢 遡行

入山日:2013年8月10日
下山日:2013年8月14日

参加者:会員4名

山域・ルート:黒部川~上ノ廊下~赤木沢


【1日目】8/10(土)7:00立山駅→8:35黒部平→9:15ロッジくろよん→12:00平ノ小屋12:20→12:30対岸→15:00奥黒部ヒュッテ→15:30東沢谷出合(ツェルト泊)

前日21時過ぎに神戸を出発し、3時頃立山到着。
途中のPAで立山三山に向かう夏山教室組と偶然出会う。
翌朝、お互いの健闘を祈りながら出発。
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ケーブルカーやバスを乗り継いで黒部平到着。
他の人たちは多くが黒部ダムまでケーブルカーで降りて行ったが遠回りになるため我々はここから一路、奥黒部ヒュッテを目指す。d0264710_1558060.jpg
黒部湖を横目に見ながら整備された湖岸の道を進む。
アップダウンが多く地味にしんどい。
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このままのペースだと12時の渡し船に間に合うか微妙ということで無理やりペースアップ。
その甲斐あって12時直前に平ノ小屋到着。
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人と荷物で沈みそうな船に乗り対岸へ。
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ここからは焦ることも無く比較的楽に歩く。
水を持つ必要がないほどそこかしこから水が湧き出しているが、その水量と10秒と手をつけていられない水温にこれから先のことを思い不安になる。

奥黒部ヒュッテ到着。
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ビールを買うついでに上ノ廊下の様子を尋ねるが前情報通り
「水量が多くまだ誰も突破できていない。」とのこと。
とりあえず入ってみないと分からないということで小屋近くの河原でツェルト泊。
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Oは釣竿を持ってきたが一切釣れず。
翌日に期待半分不安半分で就寝。

途中、寒くて何度か目が覚める。
ツエルトにシュラフカバーではかなり厳しく、結局この山行中朝までぐっすり眠れることは一度も無かった。
せめてダウンジャケットとテントシューズくらい持ってくるべきだった。


【2日目】8/11(日)5:30東沢谷出合出発→下の黒ビンガ→元ノタル沢出合→12:00広河原→上の黒ビンガ→16:00金作谷出合(ツェルト泊)

あまりに寒かったので沢装備を着て起床。全員ファイントラックでおそろいになった。
焚き火で暖をとりながらの朝食。
満点の星空。昨日に引き続き今日も快晴か。
出発。テン場のすぐそばで渡渉を試みるもあっという間に流されそうになり断念。
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想像以上の水量に全員が洗礼を受けた。
今回、水温もさることながらより印象的だったのは水量。水の冷たさは装備のおかげもあってそこそこ耐えられたが、水量は圧倒的で少しでも気を抜くと文字通り足元をすくわれヒヤリとする場面が何度もあった。

少し右岸を歩いて渡渉できそうなポイントを探し何とか渡渉成功。
スクラム渡渉がかなり有効だった。今回の山行で一番使った渡渉方法だった。
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その後、数回渡渉を繰り返すがどうにも渡れそうにない箇所があり右岸を高巻くことに。
しかし上がったはいいが降りられそうな場所がなかなか見つからない。
懸垂下降でなんとか降りたがほとんど進めていないのに一時間もかかってしまった。
黒部は切り立った地形が多く高巻きで進むのはかなり難しいのではないかと思う。

ここからさらに水流が強くなりザイルを出して確保しながら進んでいく。
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この辺りは水量が特に多く「渡渉する」というよりは「流されながらなんとか対岸に流れ着く」といった方が正しい感じだった。
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途中、上ノ廊下遡行のDVDを出しておられるガイドの志水さん一行と出会う。
この山行中、何度か行き会い色々話を聞かせていただきました。
そうこうしているうちに下の黒ビンガ到着。そそり立つ岩壁に圧倒される。
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少し進むと上ノ廊下に三つあるといわれている難所の一つ、口元ノタル沢出合上の廊下に到着。
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左岸から右岸に渡り右岸を流れに逆らって進んでいく。日光が当たらず暗くて寒い。
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水量が多いためハンドホールドが頼り。
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ザイルで確保したIさんに先に進んでもらい、上で残りのメンバーを確保してもらいながら進むが特に水流が強いところがありYさんに交代。
空身、ライフジャケットでフックを使って前進を試みるも進めず。Oに交代。
空身、ライフジャケットで進むがホールドが全く無いので背中で水流を受けながら手のひら全体で壁を押して進んでいく。
また壁際は川底が抉れているため少し壁から離れたところに足を置くとよいと思う。
何とか突破できた。

この辺りでOのデジカメがご臨終になる。

難所を抜けると広河原に出る。
さっきとはうって変わって日光が燦々と降り注ぐ中、河原を進んでいく。熱い。
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中ノタル沢、スゴ沢を過ぎて上ノ黒ビンガに到着。
下ノ黒ビンガ同様の大きく切り立った岩壁に圧倒される。
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またこの辺りは上ノ廊下の中で一番景色が良かった。
以下、資料抜粋。
「赤茶けた花崗岩のゴルジュ帯をクランク上に曲がると、左岸の岩場を切り裂くように一条の瀑布が流入する。振り返ると、両岸の岩場をV字状に切りこんで流れる黒部の本流が見える。(中略)このすぐ先では両岸からスダレ状の滝が緩やかに流れ込み、上ノ廊下の渓谷美はここ、上ノ黒ビンガでひとつの頂点を極めると言っていいだろう。」
まさしくそんな感じの景観でした。
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両岸から次々現れる滝を観賞しながら渡渉を繰り返しさらに進む。
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金作谷が見えるところまできたが、時間も遅く良いテン場も見つかったためここで行動終了。
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今日も魚は釣れず。
焚き火とお酒、満天の星空を眺めて就寝。
明日はいきなり難所だが何とかなるだろうか・・・。

【3日目】8/12(月)5:40金作谷出合出発→15:00立石奇岩→16:30テント場(ツェルト泊)

起床。焚き火で暖を取りながら朝食。
ツェルト撤収中に大きな流れ星を見た。
まだ日が差さないなか出発。
d0264710_16363877.jpg金作谷

しばらく行くと少し開けた河原に出た。先行していたパーティーがここでテン泊していた。
第二の難所、金作谷出合上の淵に到着。
Oがまず右岸、左岸とトライするがあと少しで進めず。
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続いてYさんが両岸をトライするも突破できなかった。
Iさんは水に入りたくないご様子。すぐに高巻くこととなった。

この高巻きが曲者でどんどん高度は上げていくが前進はあまりできず、
何とかここしかないというところで懸垂下降するも30m×2のザイルでなんとかギリギリ降りられた。
終わって見ると全部で3時間ぐらいかかってしまった。やはり高巻きは難しい。

すぐそこで後続のグループがさっきの難所を突破していくのが見える。
どうやら右岸を壁沿いに進むと浅くなる場所があるらしくそこからは川中を歩いて突破していた。次回は必ず攻略することを誓い先に進む。

あい変わらずザイルやスクラムでの渡渉を繰り返すが、初日の様な厳しい水量は無く緊張はしながらも順調に進んでいく。
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ここに来るまでにいくつもの滝や沢を通り過ぎて行きた。沢の水量がだいぶ減っているようだ。
第三の難所、スゴの淵に着く。遡行記録では左岸を高巻いたりへつったりして突破するようだが、先行グループ(志水さん一行)が取りついていたのと、右岸がいけそうだったので右岸を壁づたいに進む。
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予想通り、ホールドも足場もしっかりあり難なく突破。
難所を全て突破したので多少安心していたが、この後も微妙なへつりや緊張しながらの渡渉をいくつも繰り返す。
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岩苔小谷を過ぎると水量が減るらしいがそんな感じはあまりせず、最後までそこそこの水量が続いた。
立石奇岩に到着。微妙なバランスで立っている。
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このあたりで時間も遅くなり疲労もピークだったためテン場を探すが良い場所がない。30分ほど歩いて少し高くなった場所に砂地があったのでここにツェルトを張ることにした。
流木も多くなかなかのテン場だった。
釣りはあきらめて、焚き火に当たってのんびりしたのち就寝。


【4日目】8/13(火)6:00テント場出発→7:30登山道合流8:00→9:00薬師小屋→11:00赤木沢出合→赤木沢遡行→15:00赤木沢上流部(ツェルト泊)

起床。相変わらず真夏だと言うのに身震いするほど寒い。
その分、焚き火の暖かさが身に沁みる。
出発。上ノ廊下も残りわずか、今日はザイルやスクラムの出番はないのではないかと思ったが甘かった。

何度か渡渉やへつりを繰り返すと出発から2時間ほどで赤ペンキで岩に矢印が書かれているのが見えた。
ここが上ノ廊下の終了点。

最初はどうなる事かと思った上ノ廊下だったがなんとか遡行完了。
ヒヤヒヤする場面はいくつもありましたが何とか遡行できたのはパーティーを引っ張ってくださったリーダーを始め、皆で一丸となって頑張ったおかげだと思います。これほどチームワークの大切さを感じた山行は他にありませんでした。本当にありがとうございました。

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全員で記念撮影。
1時間ほどで小屋に到着。
ここから下山もできるが、せっかくここまで来たんだからと疲れた体に鞭打って一日延ばし、赤木沢に入る。
上ノ廊下とはうって変わって穏やかな流れに癒される。
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噂通りの綺麗なナメ床、ナメ滝がいくつも迎えてくれる。
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綺麗な景色に心癒されながら進むと大滝に到着。高巻いて越える。
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さすがに水量も減ってきたのと時間も遅くなったので河が枯れて水が確保できなくなる前に行動終了。
最後のツェルト泊。
ツェルト設営中にNさんが指を怪我。
ちょっとした騒ぎになるも応急処置で事なきを得た。
上ノ廊下にはほとんどいなかった虫に悩まされながら就寝。


【5日目】8/14(水)6:00テント場出発→6:40登山道→9:00太郎小屋→12:00折立→(バス)→13:30有峰口駅→(電車)→14:30立山駅→(車)→神戸

起床。今日も快晴。
結局この山行中、ほぼずっと快晴だった。
一度も夕立すら無かったのは幸運としか言いようがない。
今回の山行成功の大きな要因だったと思う。

今日はもう水に入らないので山装備で出発。
ザックの中の沢装備が重い。
気温が低いので少し着こんでいたが日光が照りつけると途端に暑くなり、
脱げるものは全部脱いだ。
沢を詰めると一面の草原に出た。朝の空気と相まって大変清々しい。
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稜線には残雪あり。そこでライチョウを見かける。
稜線に出る。久々の整備された登山道はやたら歩きやすかった。
ここから後は稜線を歩いて下るだけ。
消化試合のようなつもりでいたが快晴の中、遠くの山々(後立山連峰、槍ヶ岳etc)が見渡せ、登山道わきの斜面には花畑が広がっており、この五日間を締めくくるのにふさわしい稜線歩きだった。
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太郎小屋到着。
大勢の登山者。思えばこれだけ大勢の人を見るのも久しぶり。
休憩ののち下山開始
炎天下の中の激下り。ひいひい言いながら登っていく登山者を横目に下っていくが、なけなしの体力がどんどん奪われていく。
折立のバス停到着。心配していたが12時のバスには何とか間に合った。
有峰口で下車。電車に乗ろうと駅に行くも連絡が悪く1時間待ち。
偶然、今日下山してきた志水さんと一緒になり色々話を聞かせていただく。
電車に乗って立山駅到着。
車に荷物を積み込みOはこの後、後立山縦走に向かうためここで解散。

濃く長い山行はこれにて終了。
沢登りというより沢旅と言う方がしっくりくる、そんな4泊5日間でした。

By O

【終わり】
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by koberozan | 2013-09-07 17:31 | Comments(0)

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